遺品整理を進めていると、故人が日常的に身につけていた小さな品々が、タンスの引き出しやクローゼットの奥から数多く見つかります。メガネや補聴器、腕時計の付属品、財布といったパーソナルなアイテムは、故人の暮らしに密着していた分、どう扱えば良いか迷われる方も多いのではないでしょうか。
一見すると「個人的なものだから価値はないだろう」「使い古されているから処分するしかない」と思われがちです。しかし、そうした小物類の中にこそ、予想外の価値が眠っていることが少なくありません。安易に捨ててしまう前に、その価値を一度確かめてみることが重要です。
この記事では、遺品整理で発見されるメガネや補聴器、時計の付属品といった小物類に焦点を当て、それらがなぜ価値を持つのか、そして整理や買取に出す際の具体的なポイントを詳しく解説していきます。故人の思い出が詰まった小さな品々を、丁寧に、そして適切に整理するための一助となれば幸いです。
遺品整理で必ず見つかる「身の回りの小物」とは?
故人が生前、日常的に使用していた身の回りの品々は、遺品整理の過程で必ずと言っていいほど出てきます。衣類や家具といった大きなものだけでなく、以下のような小さなアイテムにも注意を向けてみましょう。
- メガネ・老眼鏡・サングラス: 視力を補助するためだけでなく、ファッションアイテムとしての側面も持ちます。
- 補聴器: 本体はもちろん、充電器、ケース、予備の電池などもセットで見つかることが多いです。
- 時計の付属品: 本体が見当たらなくても、ブランド時計の豪華な箱、保証書(ギャランティカード)、サイズ調整で余ったコマ、交換用の革ベルトや金属ブレスレットなどが別に保管されているケースは非常に多いです。
- 財布・革小物: 財布や小銭入れ、カードケース、キーケース、ポーチなど、日常的に使われた革製品。
これらの品々は、あまりにも故人の生活に溶け込んでいたため、ご遺族にとっては「ただの私物」に見えてしまうかもしれません。しかし、専門的な視点から見ると、その多くが再利用や買取の対象となる「資産」なのです。次の章で、その理由を具体的に見ていきましょう。
メガネ・補聴器・時計付属品は捨てずにチェックすべき3つの理由
「使い古しのメガネや補聴器が売れるなんて信じられない」と感じるかもしれません。しかし、これらのアイテムには、中古市場で求められる明確な理由が存在します。
1. メガネはブランドや素材によって高値になる
メガネは単なる視力矯正器具ではなく、顔の印象を決定づけるファッションアイテムです。そのため、特定のブランドや素材には高い需要があります。
- 人気ブランドフレーム: OAKLEY(オークリー)やRay-Ban(レイバン)といった世界的に有名なアイウェアブランドや、Cartier(カルティエ)、CAZAL(カザール)などの高級ブランドのフレームは、デザイン性が高く、中古でも探しているファンが多く存在します。また、アニメや映画とコラボレーションした限定モデル(例:TIGER & BUNNYモデル)なども、コレクターズアイテムとして価値がつくことがあります。
- フレームの素材価値: フレームに金(K18など)やプラチナ、鼈甲(べっこう)といった貴金属や希少素材が使われている場合、レンズが傷だらけでも、デザインが古くても、素材そのものに資産価値があります。フレームに刻印されている「K18」や「Pt900」といった表記を確認してみましょう。
たとえレンズに度が入っていても、購入者は自分の視力に合ったレンズに交換して使用するため、重要なのは「フレーム」の状態とブランド、素材なのです。
2. 補聴器は高価なため「リユース需要」がある
補聴器は、新品で購入すると片耳でも数十万円、両耳ではそれ以上になることもある非常に高価な医療機器です。そのため、「少しでも安く手に入れたい」「予備として中古品を持っておきたい」と考える方は少なくありません。
- 本体の再利用(リユース): SIEMENS(シーメンス/シグニア)、Panasonic(パナソニック)、RIONET(リオネット)といった主要メーカーのデジタル補聴器は特に人気があります。専門店でクリーニングやフィッティング調整を行えば、再利用が可能なため、中古市場が確立されています。
- 部品取りとしての価値: たとえ故障していても、マイクやスピーカー、内部のチップなどのパーツを取り出し、他の補聴器の修理に利用できるため、ジャンク品として買取の対象になることがあります。
- 付属品の需要: 本体だけでなく、専用の充電器やケース、未使用のイヤーチップ(耳栓)、乾燥機といった付属品だけでも個別に値段がつくことがあります。
「故人専用に調整されたものだから他人は使えない」というのは誤解です。適切な手順を踏めば再利用できる道があることを知っておきましょう。
3. 時計の箱・ベルト・保証書はそれ自体が高価買取の対象
高級腕時計の世界では、時計本体だけでなく「付属品」にも非常に高い価値が認められています。コレクターや中古市場において、付属品が揃っているかどうかは、その時計の価値や真贋を証明する上で極めて重要な要素だからです。
- 「付属品市場」の存在: ROLEX(ロレックス)の純正ボックスや、OMEGA(オメガ)のギャランティカード(保証書)、ブレスレットの余りコマなどは、それ単体で活発に売買されています。時計本体を紛失したり、付属品だけをなくしてしまった人が、自分の時計の価値を上げるために高値で探しているのです。
- 数万円の値がつくケースも: 特にロレックスの箱や保証書、希少な交換用ブレスレットなどは、小物でありながら数万円単位で取引されることも珍しくありません。「箱だけあっても仕方ない」と捨ててしまうのは、非常にもったいない行為です。
時計本体が見つからない場合でも、箱や保証書が出てきたら、決して捨てずに大切に保管しておきましょう。
小物類の整理方法|捨てる前にやるべき4つのステップ
価値ある小物を見逃さず、かつ安全に整理するためには、いくつかの簡単なステップを踏むことが大切です。
STEP1:ブランドや素材を大まかに確認する
専門的な知識は必要ありません。まずは目に見える情報をチェックしましょう。
- メガネ: フレームの内側やテンプル(つる)に印字されたブランド名(Ray-Banなど)や素材表記(K18など)を探します。
- 補聴器: 本体やケースに記載されているメーカー名(SIEMENSなど)を確認します。
- 時計の付属品: 箱や保証書に書かれたブランド名(ROLEXなど)を見ます。
- 財布・革小物: ロゴや刻印でブランド名を確認します。
これだけで、価値がある可能性の高いものを大まかに把握できます。
STEP2:バラバラにせず「まとめて袋に入れて保管」する
小物は紛失しやすく、バラバラになると価値が正しく評価されないことがあります。「メガネ類」「時計の付属品」「補聴器関連」など、カテゴリーごとに一つの袋や箱に「一式」としてまとめておきましょう。査定に出す際も、このままの状態で依頼するのが最もスムーズで確実です。
STEP3:分解や無理な洗浄はしない
綺麗にしようとして手を加えることが、かえって価値を下げる原因になります。
- メガネのネジを外す、レンズを無理に取る
- 補聴器を分解する、水で洗う
- 時計ベルトの金具を外す、革をクリームで磨く
これらの行為は、パーツの紛失や破損、素材の劣化に繋がります。査定減額のリスクを避けるためにも、ホコリを軽く払う程度に留め、現状のまま専門家に見せるのが最善です。
STEP4:個人情報が含まれるものは慎重に扱う
財布やカードケースの中身は必ず確認しましょう。クレジットカードやキャッシュカードはもちろん、故人の名前や住所が記載された診察券や会員証なども個人情報です。これらはシュレッダーにかけるなど、適切に処分する必要があります。補聴器に個人データが残っている場合もあるため、買取業者に依頼する際は、データの取り扱いについても確認するとより安心です。
まとめ|“小さな小物”の中にこそ、お宝が眠っている
遺品整理では、大きな家具や家電にばかり目が行きがちですが、故人が日々身につけていたメガネ、補聴器、時計の付属品、財布といった小さな小物の中にこそ、思わぬ価値を持つ「お宝」が隠されていることが多々あります。
- 価値がないと自己判断せず、まとめて保管する
- ブランド名や素材を確認し、安易に捨てない
- 破損の原因になるため、分解や洗浄はしない
- 買取だけでなく、必要に応じて供養も検討する
「これはどうせ売れないだろう」と処分してしまう前に、一度立ち止まってみてください。故人が大切にしていた品々は、単なるモノではなく、思い出と価値が宿った遺品です。専門家に査定を依頼すれば、その価値を正しく見出し、次の使い手へと繋ぐことができます。遺品整理業者の中には、買取と遺品の供養を同時に相談できるところもあります。故人とご遺族の気持ちに寄り添った、後悔のない整理を進めていきましょう。

